離婚後の支援制度

離婚後の支援制度

離婚して母子家庭・父子家庭になる場合、経済的に苦しい状況に陥ってしまうこともあるのが事実です。

経済的に苦しい方を守り救うために、国や自治体では、母子家庭や父子家庭のための公的援助制度を設けています。
公的援助については、市区町村によって異なり、所得制限があるものもありますので、詳細はお住まいの市区町村役場の窓口に問い合わせをして下さい。

生活のための支援制度

離婚後の生活をサポートする支援制度には以下のようなものがあります。

児童扶養手当

児童扶養手当は、父母の離婚などで、父又は母と生計していない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として、支給される手当です。平成22年8月1日より、父子家庭の父も児童扶養手当の対象となりました。支給対象者としては、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある児童を監護している、母子家庭の母、父子家庭の父または父母以外の者となります。

児童扶養手当の月額は、受給資格者(ひとり親家庭の父や母など)が監護・養育する児童の数や受給資格者の所得等により異なります。

児童育成手当

18歳に達する日以降最初の3月31日までの間にある児童を扶養する母子・父子家庭に対し、児童1人につき月額13,500円の育成手当てが支給されます。なお、所得制限があります。

税の減免

母子・父子家庭の場合、申告により所得税・市県民税の減免措置を受けることができます。

ひとり親家族等医療費助成制度

18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童を不要する母子・父子家庭の親子に対し、国民健康保険や健康保険など各種医療保険の対象となる医療費、薬剤費等の自己負担分を市区町村が援助する制度です。

乳幼児医療費助成制度

6歳に達する日以後の最初の3月31日までの乳幼児(義務教育就学前までの乳幼児)を養育している方に、保険診療にかかわる乳幼児の医療費・薬剤費等の自己負担分を市区町村が援助する制度です。

ひとり親家庭のホームヘルプサービス

義務教育修了以前の子どもがいる母子・父子家庭に対し、ホームヘルパーを派遣するサービスです。病気などの理由により、日常生活に支障をきたしている場合に利用できます。食事の支度および片付け、住居の掃除および整理整頓、被服の洗濯および補修、授乳および食事の補助などのためにヘルパー派遣を依頼出来ます。なお、所得に応じて費用負担があります。

ひとり親家庭休養ホーム

母子・父子家庭のレクリエーションと休養のために、市区町村が指定する宿泊施設や日帰り施設(遊園地など)の利用料の全額又は一部を助成する制度です。

JR通勤定期券の割引

児童扶養手当や生活保護を受けている世帯の人が、JRで通勤している場合、市区町村が発行する資格証明書を提示することにより、その通勤定期券を3割引きで購入することができます。

水道・下水料金の軽減

児童扶養手当や生活保護を受けている世帯で一定の要件を満たす場合には、申請により、水道料金・下水料金の減免措置を受けられることがあります。

住宅に関する支援制度

離婚後、様々な事情により実家に住むことが出来ず、そうかと言って安定した収入があるわけではないため、民間のマンション・アパートを借りることに困難を感じている方もおられると思います。そのような方のために、以下のような支援制度があります。なお、自治体毎に支援制度の内容が異なりますので、詳細については、お住まいの市町村役場におたずね下さい。

母子生活支援施設

配偶者のいない女性及びその者の監護すべき児童を入所させ、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援することを目的とする施設です。
独立した居室で家事・育児を行うことができ、また、施設には、仕事や育児のことなど、様々なことを相談できる職員がいます。また、母親の残業や、保育所が休みの時など、時間外保育を行っています。
施設利用に関する費用は、住民税や所得税の税額に応じて決まります。

公営住宅

公営住宅とは、都道府県や市区町村が運営している住宅で、家賃は、民間のマンションやアパートに比べ低くなっています。安定した収入、高額な収入がなくても安心して生活していけるよう、家賃は収入(所得)によって決まります。公営住宅への入居は、抽選で決められますが、母子家庭で同居親族が20歳未満の子供だけであった場合、当選率が若干高くなり、一般募集よりは入居しやすくなっています。

就職のための支援制度

現在、働く意欲のある母子世帯の母・父子家庭の父を支援する制度が整えられつつあります。以下の制度は、その一例です。自治体毎に支援制度の内容や支援を受ける条件が異なりますので、詳細については、お住まいの市町村役場におたずね下さい。離婚を機に、新たな職にチャレンジし、見事に才能を開花された方は多くいます。離婚は新たな人生のスタートでもあります。ぜひチャレンジしてみてください。

自立支援教育訓練給付金の支給

母子家庭の母または父子家庭の父を支援するもので、雇用保険の教育訓練給付の受給資格を有していない人が対象教育訓練を受講し、修了した場合、経費の20%(4千1円以上で10万円を上限)が支給されます。

高等技術訓練促進費の支給

母子家庭の母または父子家庭の父が、看護師、介護福祉士、保育士などの資格取得のため、2年以上学校等で学習する場合に、学習期間中の生活費の負担軽減を目的として、高等技能訓練促進費が支給されます。また、入学金の負担軽減のため、入学支援修了一時金も支給されます。

貸付における支援制度

どうしてもお金が必要な場合に、各自治体では、以下のような低金利の貸付制度を設けています。なお、これらを利用する場合には、必ず保証人が必要です。自治体によって、制度や内容等が異なりますので、詳細については、お住まいの市町村役場におたずね下さい。

女性福祉資金貸付制度

配偶者がいない女性で、親、子、兄弟姉妹などを扶養している方を対象者とする貸付制度です。貸し付けが自立につながると判断され、償還の計画を立てることができると認められる場合に、事業資金、住宅資金、生活資金など様々な目的のために、無利子又は低金利で貸付を受けることができます。

母子福祉資金貸付制度

20歳未満の子どもを扶養している母子家庭の母親を対象とする貸付制度です。事業資金から、貸し付けが自立につながると判断され、償還の計画を立てることができると認められる場合に、住宅資金、生活資金など様々な目的のために、無利子又は低金利で貸付を受けることができます。

生活保護

収入が少なく、生活に困窮する方のために国や自治体が、困窮の程度に応じ、最低限の生活を保障するとともに、自立を支援する制度です。生活費、家賃、学費等、最低限度の生活に不足する分を援助してくれます。生活保護の申請は、福祉事務所で行います。生活保護とは、病気・失業等の様々な理由で収入がないがために経済的に困窮している人に対し、国や自治体が、困窮の程度に応じ、生活保護費を支給するなどして最低限の生活を保障するとともに、自立を支援する制度です。この制度には、最低限の生活ができない人間を放置せず、社会全体で支え合うべきであるという価値観が背景にあります。生活保護は、世帯単位で適用されます。世帯全員の給与、養育費、各種福祉手当などのあらゆる収入を合計しても最低生活費に満たない場合は、その不足部分が生活保護費として支給されます。

8種類の扶助

生活保護は、以下の8種類の扶助があり、要保護者の年齢、性別、健康状態、世帯の生活状態に応じて1つあるいは2つ以上の扶助を受けられます。
なお、世帯の構成人員により、生活保護の基準額は異なります。

1.生活扶助(日常生活に必要な、一般的な生活費の需要を満たすための扶助)

生活困窮者が、衣食、その他日常生活の需要を満たすための扶助であり、飲食物費、光熱水費、移送費などが支給されます。

2.住宅扶助(住宅の維持費を支払う必要がある場合の扶助)

家賃、地代、間代、補修費等、住宅維持に関する費用が支給されます。たとえば、居住している家屋が風雨などで損壊し生活が維持できなくなった場合は、その補修のための修繕費などが支給されます。

3.教育扶助(児童が義務教育を受けるのに必要な扶助)

生活に困窮する家庭の児童が義務教育を受けるのに必要となる学用品費、教科書に準ずる副読本的な図書の購入費、学校給食費などが支給されます。

4.出産扶助(出産をするときの扶助)

生活保護を受けている世帯に出産を控えた方がいる場合に、出産にかかわる費用が扶助されます。分娩介助費用、分娩前後の処置費用、衛生材料費用、病院などの施設で分娩する場合は、入院費用についても入院に必要な最低限度の額が支給されます。

5.医療扶助(ケガや病気で治療を必要とするときの扶助)

生活に困窮する者が怪我や病気により医療機関を受診し、治療を必要とするときの扶助です。手術費用、治療や処置に要した薬剤・治療材料の購入費、病院・診療所への入院、看護費用、移送に必要な費用などが免除されます。病状によっては、柔道整復、あんま、マッサージ、はり・きゅうなどの施術の費用も給付の対象となる場合もあります。

6.介護扶助(介護サービスを受けるときの扶助)

要介護又は要支援と認定された生活困窮者に対して行われる扶助です。介護費用の一部または全額が扶助されます。

7.生業扶助(生計維持のために生業するときの扶助)

生業に必要な資金、器具や資材の購入費、技能習得費、就労のために必要な洋服類や身の回りの品の購入費などの就労支度費が支給されます。
平成17年度より高等学校就学費がこの扶助に追加されました。

8.葬祭扶助(葬祭を行うときの扶助)

生活困窮者が葬祭を行う必要があるとき行われる給付であり、遺体の検案、運搬、火葬、埋葬、その他葬祭のために必要な費用が支給されます。

 

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