DVかとおもったら

DVかとおもったら

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るために、平成13年、配偶者暴力防止法(DV防止法)が制定されました。

上記法律においては「配偶者からの暴力」が対象となりますが、ここでいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないいわゆる「事実婚」の場合や、離婚後に引き続き暴力を受けている場合も含まれます。

また、生活の本拠を共にする交際相手(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいない者を除く)からの暴力についても、この法律が準用されます(同法28条の2)。

DVに対しては、上記法律において、以下の対処方法が定められています。

保護命令

「保護命令制度」とは、配偶者からの身体に対する暴力を受けた被害者、または配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた被害者が、配偶者からの更なる身体に対する暴力により、その生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、裁判所が被害者からの申立により、加害者である配偶者に対して発する命令のことをいいます。
保護命令に違反した加害者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

保護命令には、次のような類型があります。

1 接近禁止命令

6ヶ月間、被害者の身辺につきまとい、または被害者の住居(加害者と共に生活の本拠としている住居を除く)や勤務先等の付近をはいかいすることを禁止する命令です。

2 被害者への電話等禁止命令

被害者に対し、次のいずれの行為もしてはならないことを命ずるものです。
被害者からの申立により、上記1接近禁止命令と同時またはその発令後に発令されます。

・面会を要求すること。
・その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
・著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
・電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。
・緊急やむを得ない場合を除き、午後十時から午前六時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールを送信すること。
・汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
・その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
・その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的
羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

3 被害者の同居の子への接近禁止命令

被害者と同居する未成年の子の身辺につきまとい、または子の住居(加害者と共に生活の本拠としている住居を除く)や学校等の付近をはいかいすることを禁止する命令です。

被害配偶者からの申立があり、裁判所が必要と認める場合に、1の接近禁止命令と同時またはその発令後に発令されます。
ただし、子が15歳以上の場合は、子の同意がある場合に限られます。

4 被害者の親族等への接近禁止命令

被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者の身辺へのつきまとい、または住居や勤務地の付近をはいかいすることを禁止する命令です。
被害配偶者からの申立があり、裁判所が必要と認める場合に、1の接近禁止命令と同時またはその発令後に発令されます。ただし、親族等の同意がある場合に限られます。

5 被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去命令

2か月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及び当該住居の付近のはいかいをしてはならないことを命ずる命令です。
この命令の狙いは、被害配偶者が取る物もとりあえず加害配偶者から逃れてきたような場合、元の住居から加害配偶者を一定期間退去させ、その期間に被害配偶者が身辺整理や転居先の確保等の準備作業を行えるというものです。

 

保護命令申立の手続に関し、裁判所へ申立を行う前に、配偶者暴力相談支援センターまたは警察署に相談、援助もしくは保護の求めを行っておく必要があります。
保護命令の申立書には、これらの相談機関に赴いて配偶者等からの暴力について相談したという事実を記載しなければならず、事前に相談機関に相談等をしなかった場合には、配偶者等から暴力を受けたことについての申立人の供述が真実であることを公証人の面前で宣誓して作成した宣誓供述書を申立書に添付する必要があります。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談下さい。

 

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