離婚の種類と手続

(質問)

 先日、調停で離婚が成立しました。

 裁判所の方から、私が市役所に手続に行くように言われたのですが、相手方のサインや判子をいつもらえばいいのでしょうか。

(回答)

1 離婚には、「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚(和解離婚・認諾離婚・判決離婚)」の4つの類型があります。

「協議離婚」とは、夫婦の話し合いによって離婚の合意が成立することであり、日本の離婚全体の約87%を占めます。

「調停離婚」とは、裁判所の調停によって離婚が成立することであり、全体の約10%です。

「裁判離婚」とは、裁判所の訴訟(判決)によって離婚が成立することであり、全体の約2~3%です。

「審判離婚」とは、裁判所の審判によって離婚が成立することであり、全体の1%に満たない割合です。

2 離婚が成立する時点と手続の方法は、離婚の種類によって異なります。

  協議離婚の場合、婚姻届と同じように、離婚届の用紙に必要事項を記入し、夫婦がそれぞれ署名押印して市役所に提出します。離婚が成立するのは、市役所で受理された時点です。協議離婚の場合の離婚届出は、夫婦関係を変動させる機能がありますので、「創設的届出」と言われています。

3 調停離婚の場合、裁判所での話し合いを経て、離婚することや離婚条件がまとまれば、裁判官が夫婦それぞれに離婚の意思と離婚条件等を確認します。夫婦が、いずれも、その内容で間違いない旨表明すれば、その時点で調停が成立し、離婚が成立します。そして、夫婦のいずれか一方が、調停調書を持参して市役所に行き、一人で離婚届を書いて提出します。離婚届に相手方の署名押印をする必要はありません。

  これは、離婚はあくまで調停の場で成立しており、市役所への届出は、離婚が成立したことを報告するに過ぎないからです。その点で、調停離婚の場合の離婚届出は、「報告的届出」と言われています。

  夫婦のどちらが市役所への届出をするかについては、婚姻の際に名字を変えた方がすることが多く、現状では女性がすることが多いです。離婚の際に、名字をどうするか、戸籍から抜けた後どこに本籍地を置くかなどを併せて届け出る必要があるからです。

4 審判離婚・裁判離婚の場合、裁判所の審判・判決が出て、その審判・判決が確定すれば、その確定時点で離婚が成立します。その後は殆ど調停離婚と同じで、夫婦の一方が、審判・判決と確定証明書を持参して市役所に行き、一人で離婚届を書いて提出します。相手方の署名押印は必要ありません。

5 今回のご相談者の場合、調停で離婚が成立したとのことですので、ご相談者が一人で市役所に行って離婚届を記載すればよいのであり、相手方のサインや判子は必要ありません。

  なお、市役所への離婚届は、調停離婚の場合は調停成立から10日以内、裁判離婚の場合は判決確定から10日以内と定められていますので、ご注意下さい。

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