fukuma blog

宝塚でクラリネット演奏を聴いて

2015/07/02(木) 日々の出来事

先般、宝塚のバックステージという所でジャズを聴く機会があり、その中で、クラリネット演奏も聴くことができ、その滑らかな、伸びやか音色に接し、感動を致しました。

クラリネットの音色は、はじめはどちらかと言えば日常的な親しみやすい音であり、例えばピアノのように最初からある種の芸術性を主張する音でないものであり、自然に耳に入り、何らの違和感も感じないのですが、その滑らかな音は徐々に聞き手を日常とは別の世界に連れて行くような印象を受けました。その心地よい音色に耳を傾けていると、自然にその音色は耳から私の内部に入り込み、いつしか私の気持ちを日常では到達できない高みにまで連れて行ってくれるように感じました。

私は音楽のことはよく分からないのですが、クラリネットというのは、なかなかの曲者であり、あまり自己主張のない楽器かのように装って聞き手を安心させながら、実は大変な野心と思想を秘めて、それをさりげなく、あるいは時に大胆に表現しながら、それでもどこかで、いえいえ私はそんな野心も思想を持っていませんよ、安心して下さいというメッセージを付け加えることを忘れない楽器ではないかと思うようになりました。

演奏後、奏者の方のご好意でクラリネットを手に持たせてもらいましたが、それは木でできているにも関わらず、鉄のようにずしりと重く、堅いものでありました。軽そうに見えながら実は重い、軟弱そうに見えながら実は剛健、そんな楽器もかっこいいのではないかと思いました。

 

 

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