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カラマーゾフの兄弟(再読の楽しみ)

2013/10/30(水) 日々の出来事本の感想

以前このブログで、「カラマーゾフの兄弟」の再読のお話をさせて頂きましたが、人との再会であれば、相手の顔を見て、「随分変わったなぁ」とその変わりように驚いたりするのですが、本の再読においては、本の方は、以前と全く変わらない世界を堅持してきておりますので、違った印象、感想を得るということは、自分が変わったことに気付くことでもあります。ある意味、その間の変化に対する鏡であるかも知れません。

また、再読においては、その後の展開が分かっていたり、多少余分な知識も増えておりますので、初読の時とは違った感想を持つのも当然のことです。

初読の時には、スメルジャコフの妙に生々しい描写やゾシマ長老の死後の状況など印象深かったのですが、今回の再読では、前者の生い立ちや、後者の生前の人柄に対するカラマーゾフのお父さんによる人物評など、後の展開を知っていることにより、興味深くなることも多々あります。

また、ポルフィーリーと名付けられた見習い僧が登場すると、初読の時はまだ読んでいなかった「罪と罰」において主人公ラスコーリニコフをぎりぎりのところまで追い込んだ予審判事を思い出したりします。予審判事は、たしか30歳代でありながら、小説の中で、「自分は出来上がってしまった人間である」と述べていたように思いますが、その予審判事と、今回の見習い僧は、どんな関係にあるのだろうかなどと思い巡らしたりします(何の関係もないのかも知れませんが)。

長い長い小説ですが、秋の夜長に気ままに読んでいこうと思います。

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