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アスクレピオスは、父をアポロンとしておりますが、母については「アルシノエー」とする説と「コローニス」とする説があるようであり、コローニスとする説によれば、コローニスはアポロン以外の男性と通じていたとのことであり、烏(カラス)によってこれを知らされたアポロンはコローニスを殺してしまったそうです。コローニスはその時身ごもっており、アポロンはコローニスが焼かれているときにその胎内からアスクレピオスを引き出し、これをケイローンのところに連れて行って医術と狩猟を学ばせたそうです。アスクレピオスはアポロンの子だけあり、優秀な知性を発達させ、外科医となり、死者をもよみがえらせる技を習得したとのことであります。
なお、アポロンは、自分を裏切ったコローニスを殺しただけでなく、ローニスの不義を伝えたカラスも呪い、それまで白色だったカラスを黒色にしてしまったそうです。
理性の象徴でもあるアポロンも激情に駆られる一面があったようです。
(岩波文庫「ギリシャ神話」アポロドーロス著、高津春繁訳参照)