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時効(消滅時効・取得時効)について(1)

2023/10/13(金) 法律知識の広場

 時効とは、まさに「時」の「効力」と言うべきもので、一定の時間の経過によって法律上の権利義務が変動するものです。本来、私法上の権利義務は、当事者間の自由な意思によって形成されるべきものとされており、このような考えは「私的自治の原則」として民法の基本原則となっておりますから、当事者の意思によらないで、ただ時が経過しただけで権利義務が変動するというのは、近代法の原則である上記「私的自治の原則」に対する重大な例外として位置づけることができます。ただ、時効が一定の事実状態を尊重して、当事者の意思によらない権利変動を認めるものであるとしても、一定の事実状態が存続し、それがある程度継続していたとすれば、それは当事者がその状態を容認して放置していたものと考える余地もあり、また、事実状態は正式の法律関係を反映していることが多いという蓋然性の高さに由来するものと考えれば、時効制度は、当事者の意思を補完しているものとも言えましょう。時効制度は、その制度趣旨として、永続した事実状態はそれ自体尊重すべきであるとする法律関係の安定を確保すること、事実状態が真実を反映する蓋然性が高いこと、権利の上に眠るものは保護するに値しないこと等を基礎としていますが、もともと法律というものは、事実を評価して、その状態が法律的にどのような法律効果をもたらすかを判断するものですが、時効においては、法律の方が、事実に屈服し、事実に対して、「その通りです」「その事実状態に異存はありません」「私(法律)もその事実状態を尊重して異議を申し述べません」という事態になるのですから、時効は、法が認めた法自身の限界、と言ってもいいのかも知れません。法は、本来「規範」として、「かくあるべし」と宣言するものですが、時効においては、「法」も無力となり、事実が「法」の立場で君臨するものと言えましょう。

 今回、このような時効を取り上げてみたのは、最近、事務所で扱う案件の中で時効に関連するものが続き、時効が案件解決の決め手になるケースが多く見受けられたことから、時効について書いてみようと思った次第です。これからも、折に触れ、時効に関しても書いてみようと思います。

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