財産分与

(質問)

 今回、夫と離婚することになりましたが、結婚生活10年の間に夫名義の預貯金や夫名義で購入した不動産がありますが、ローンもまだ残っています。離婚の際にこのような財産をどのように処理したらよいでしょうか。

(回答)

1 結婚して夫婦が共同生活を営む中で、夫名義あるいは妻名義で色々な財産が形成されます。預貯金だったり、不動産だったりします。これらの財産は、夫婦のいずれか一方の名義であったとしても、夫婦の共同生活の中で形成されたものですから、実質的には、夫婦の共有財産と考えられます。そこで、離婚に際しては、このように夫婦共有と考えられる財産を清算する必要があります。このような財産の清算が財産分与に他なりません。

2 財産分与の対象となる財産は、夫婦の共同で形成されたものである必要がありますから、別居がなされたときには、別居時に存在する財産ということになりますが、相続によって取得した財産等は夫婦の協力により形成されたものではありませんから、財産分与の対象にはなりません。

3 ところで、本件における不動産には、ローンもついており、不動産価格とローン残高とを比較する必要があります。不動産価格がローン残高を上回っている場合には、その差額分が財産分与の対象となり、例えば、その差額が500万円ある場合には、これが財産分与の対象となり、原則として夫婦が2分の1ずつこれを取得しますので、夫は妻に対し金250万円を支払う必要があります。

これに対し、不動産価格よりローン残高が多い場合には、いわゆるオーバーローン状態となり、財産分与ができなくなります。ただ、このような場合でも、話し合いにより、離婚後も元夫がローンを支払うことを元妻に約束し、その支払を継続して、元妻がその後も不動産での居住を継続するような処理をすることも可能です。また、協議により、夫のローン返済を条件として、将来ローンが完済した時点において不動産を元妻に財産分与するという処理も考えられます。あるいは、ローン会社の承諾を取ったうえで、不動産を離婚時に財産分与し、名義を妻に移転しておく方法もあります。オーバーローンの際の財産分与には困難な問題もありますが、これらについては、離婚に際し十分協議して納得のいく条件にしておく必要があります。

4 なお、財産分与の基準は、現在では原則として2分の1ずつであり、いわゆる専業主婦の方でも家事労働に従事していたことから、2分の1で処理される傾向が強くなっています。              

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