父が亡くなり、母はすでに亡くなっておりますので、相続人は長男である兄と長女である私の2人です。父は亡くなる数年前から寝たきりの状態となり、私が介護をしてきました。父の遺産としては不動産2000万円と預貯金500万円があります。兄は法定相続分に従って、遺産を半分ずつに分けようと主張しておりますが、それに従わなければならないのでしょうか。私が父を看てきた点は評価してもらえないか教えて下さい。

(参考事例)

 父が亡くなり、母はすでに亡くなっておりますので、相続人は長男である兄と長女である私の2人です。父は亡くなる数年前から寝たきりの状態となり、私が介護をしてきました。父の遺産としては不動産2000万円と預貯金500万円があります。兄は法定相続分に従って、遺産を半分ずつに分けようと主張しておりますが、それに従わなければならないのでしょうか。私が父を看てきた点は評価してもらえないか教えて下さい。

(説明)

1 今回のケースでは、相続人は子2人ですので、法定相続分は2分の1ずつです。しかしながら、本件では長女の方が数年に亘りお父様の介護を尽くされ、労力的にはもちろん、金銭的にも多くの負担をされたと思われますので、長男と同様の相続分であるとするのはあまりにも不公平です。

2 民法はこのような場合に対応するために寄与分の制度を設けております。これは、被相続人が事業をしていた場合に相続人がこれに労務提供をしてきたり、あるいは被相続人の療養看護を尽くして被相続人の財産の維持・増加について特別の寄与をした者があるときには、その寄与を金銭的に評価して、その評価額を遺産の額から控除し、残余を遺産分割すると共に、控除部分を寄与した人に取得させようとするものです。

3 本件においては、被相続人が寝たきりとなり完全介護を必要とする状況であり、このような場合に介護をするには、日常生活のすべてに渡って面倒を看ていく必要があり、介護施設に入ったり、あるいは介護ヘルパーの方にお世話をして頂くとなると相当の費用が必要となります。このような費用を負担したり、実際の介護の労力を提供することにより、お父様の財産の減少が回避されたと考えられますので、長女の方の貢献を特別の寄与として評価するのが相当です。

4 実際に費用負担をされている場合にはその金額を控除する必要があります。また、労務の提供がなされていた場合には、介護の方にお願いした場合の費用相当額を基礎としながら、親族による扶養の面もあることから裁量的な減額をしてその金銭的評価が行われます。

5 本件において数年に渡る介護の金銭的な評価が仮に500万円とされる場合には、これを長女の方に取得させることになり、残余を兄と2分の1ずつで分割することになります。寄与分の算定は争いになることも多く、弁護士に相談されることをお勧めします。

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