交通事故(後遺障害)

ご質問

 先日、車を運転していて、信号待ちで停車中に追突されて怪我をしました。

 整形外科に通院していますが、痛みが続いています。先日、相手方保険会社から、そろそろ治療費の支払を終了したい、痛みが残っているのならば後遺障害の申請という方法がありますと言われましたが、どういうことでしょうか。

解説

1 交通事故によって損害が発生した場合、相手方の過失割合に応じて、相手方の運転者に対して、損害 賠償請求をすることができます。この事案の場合、過失割合は相談者が0、相手方が100ですので、事故と相当因果関係のある損害の全額を相手方に請求することができます。

2 事故によって怪我をした場合、通院して数ヶ月で完治するだろう、あるいは実際に完治したということであれば、完治までの治療費が支払われますが、現実には、数ヶ月通院してもまだ痛みが残っているということがあります。

このような場合、相手方や相手方保険会社はずっと治療費を支払わなければならないとなると多大な負担になりますし、いつまでも交通事故の損害賠償の処理が終わらないことになり、相当ではありませんので、適宜の時点で治療費の支払を終了します。そして、その時点で残っている症状については、治療をしても治らなかった障害、すなわち「後遺障害」という取扱をします。

ただ、痛みなどの自覚症状があれば直ちに後遺障害があると言えるわけではありません。後遺障害は、第1級から第14級までどのような場合に該当するかが決められており、自賠責保険において、事故の内容、治療経過、医師の診断書等をもとに、この等級に該当するかを判断します。

3 自賠責保険における審査の結果、後遺障害の等級が認定された場合には等級に応じた損害賠償を受けることができます。

 損害賠償の内容は、慰謝料と逸失利益です。

 慰謝料は、後遺障害が生じたことに対する精神的苦痛を慰謝するための金銭であり、逸失利益は、後遺障害により労働能力が失われたことで得られなくなった賃金相当額です。労働能力がどの程度失われたかは、等級に応じて決められています。

 注意が必要であるのは、後遺障害についての損害賠償として支払われるのは原則としてこの2つであり、通院中のように1回1回の治療費が支払われるわけではないということです。後遺障害というのは、症状固定までの間に治療をしても治らず障害が残ったということであり、今後も治らないものとみなします。治らないのに病院に通う必要はありませんので、治療費の支払はしないという処理がされています。

4 後遺障害の等級が認定されず、後遺障害非該当の結果が出た場合には、症状固定日までの通院についての損害賠償は受けられますが、それ以外の損害賠償はなされません。

 非該当の結果に納得がいかない場合には、異議申立を行うことができますし、異議申立の結果にも納得がいかないという場合には、最終的には訴訟を提起し、裁判所に、後遺障害があるかどうかの判断を委ねることになります。

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