賃料の相続について

Q.
私の父は、生前不動産を有し、第三者に賃貸して賃料を得ておりましたが、3年前に亡くなりました。母は既に死亡していたことから、相続人は、兄と私であり、今般、不動産を兄が取得し、預金・株式を私が取得する旨の遺産分割協議が成立しました。ただ、父死亡から3年間の賃料1000万円について、これまで兄が保管しておりましたが、これを誰が取得すべきか話がまとまりません。賃料は、どのように扱われるのでしょうか。

 

A.

人の死亡により相続が開始し、生前有していた財産(不動産、預金、株式)は、原則として相続人が相続分に応じて相続しますから、本問では、兄とあなたが各2分の1の割合で相続財産を共有することとなります。


ところで、相続財産をいつまでも共有にしておくのは好ましいことではありませんから、相続財産(不動産、預金、株式)について相続人の誰がどのように取得するかを決める必要があります。これを遺産分割協議といい、これが成立すれば、その効力は相続開始の時にさかのぼって生ずるとされています(民法909条本文)。

従って、本問においては、相続の開始によって、一旦、兄とあなたが全ての財産を各々2分の1の割合で共有している状態になりながら、遺産分割協議の成立によって、当該不動産は、相続開始当時から兄が単独取得していたこととなります。そこで、相続開始から遺産分割協議が成立するまでの賃料については、当初の共有に従って処理すべきか、後の遺産分割協議に従って兄の単独所有によるものとして処理すべきか問題となります。


この点について、判例・学説が分かれておりましたが、今般、最高裁判所は、相続開始から遺産分割までの賃料は、各共同相続人がその相続分に応じて確定的に取得するとの判断を示しました(最高裁平成17年9月8日判決)。

従って、本問においては、兄が保管している1000万円については、あなたがその2分の1に相当する500万円を取得する権利を有していることとなります。

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